乳酸閾値とは何か?LT1・LT2とテスト方法を知って今日の運動に活かすメモ
乳酸閾値(LT)の基礎概念、代表的な数値の目安(安静時〜LT1・LT2)、有酸素・無酸素トレーニングやインターバルとの関係、ランプテストと測定上の注意点を整理し、自分の記録を点検するためのチェック項目をまとめます。
乳酸閾値は、運動強度を最大心拍数の約85%または最大酸素摂取量の約75%で表されることがある指標です。
乳酸閾値と関連するいくつかのポイント
乳酸下降点(LIP)は血中乳酸濃度が急速に上昇し始める運動強度を指します。
閾値以下の運動強度では筋肉で生じた乳酸は蓄積せずに体内で除去されます。
閾値を超える運動強度では乳酸の産生が分解速度を上回ります。
血中乳酸蓄積の開始(OBLA)は乳酸閾値と混同されることが多いとされています。
乳酸閾値は持久系スポーツのトレーニングやレースで運動強度を決めるのに有用であるが個人差があるとされます。
安静時からLT1・LT2まで:数値の目安を整理する
筋は安静時でも継続的に乳酸を産生し、安静時血中乳酸値は通常1–2 mmol/Lです。
LT1は血中乳酸約2.0 mmol/L付近の線形の屈曲点に対応して用いられることがあります。
LT2は約4.0 mmol/L付近の非線形の屈曲点に対応して用いられることがあります。
血中乳酸濃度が4.0 mmol/Lに達すると増加を示し筋肉に蓄積して血流へ移行することがあります。
有酸素閾値(AeT)はしばしば乳酸閾値と同等に定義され、血中乳酸濃度が安静値を超える運動強度とされます。
無酸素閾値(AnT)では血中乳酸濃度が運動強度に対して線形に関連し、運動強度と持続時間の両方で増加します。
乳酸閾値とトレーニングの関係
有酸素トレーニングと乳酸閾値
定期的な持久運動は骨格筋の適応を促し、乳酸値が上がる閾値を引き上げます。
この適応はPGC-1αの活性化を介し、LDH複合体のアイソ酵素組成を変化させ、LDHAの活性を低下させLDHBの活性を増加させることで媒介されます。
有酸素トレーニングは乳酸耐性を増やさないが乳酸閾値を上げます。
無酸素トレーニングと乳酸耐性
無酸素トレーニングは時間とともに乳酸の影響に対する耐性を高めます。
インターバルとファルトレク
インターバルトレーニングは運動と休息を交互に行い、一時的に乳酸閾値を超える高強度を可能にしその後回復で血中乳酸を低下させます。
ファルトレク(speed play)は連続運動とインターバル運動を組み合わせたもので、一貫したペース変化を含みます。
乳酸閾値をどう測るか
ランプテストでの血中乳酸測定
乳酸閾値の正確な測定には運動強度を漸増させるランプテスト中に指先・耳たぶ・親指の穿刺で血液サンプルを採る方法が含まれます。
試験紙と近赤外分光センサー
血中乳酸測定用の試験紙はラクト酸オキシダーゼ酵素層を利用して乳酸をピルビン酸に変換します。
その際に生じる副生成物の過酸化水素を電気化学的に検出します。
非侵襲型の近赤外分光(NIRS)センサーは筋酸素飽和度(SmO2)の動態を測り生理的閾値やトレーニングゾーンの代理指標として利用されます。
測定値がぶれる要因
血液サンプルの結果は被検者のグリコーゲン状態や周囲温度で変わり得ます。
血液サンプルの結果は採取部位や汗の混入、測定器の精度などでも変わり得ます。
コンディションと今日の運動をつなぐメモ
デイリーヘルスアプリは朝に睡眠・心拍・心拍変動・呼吸数・手首温度を基準値と比較して1〜5段階で今日のコンディションを示します。
同アプリはそのコンディションに合わせた運動の種類と時間を提案します。
夜間の測定(睡眠・心拍変動・手首温度)にはApple Watchが必要とされています。
アプリの健康データはiPhone内で処理され、サーバーにはアカウント情報とオンにした場合のエラー報告のみが保存されるとされています。
当該アプリは医療機器ではなく、表示される点数や案内は医療的判断を置き換えるものではないとされています。
その日のコンディションの情報と乳酸閾値まわりの知識をあわせて、どの程度の強度の運動にするかを自分でメモしておくと、記録を振り返るときの材料になります。
自分の記録を見直すミニ課題
- 過去の記録に「血中乳酸」「LT1」「LT2」「SmO2」などのデータがある場合は、日付・単位(mmol/Lなど)・測定方法のメモが抜けていないか確認してみてください。
- 安静時血中乳酸の典型値として1–2 mmol/L、LT1の目安として約2.0 mmol/L、LT2の目安として約4.0 mmol/Lという値を一行の表にまとめ、自分の記録と並べてみてください。
- 自分が行っているインターバルトレーニングとファルトレクがあれば、回数・時間・ペース変化の仕方を簡単に書き出し、「どちらがより閾値を超える局面が多そうか」を言葉で整理してみてください。
- 有酸素トレーニングと無酸素トレーニングが、それぞれ「乳酸閾値を上げる」「乳酸の影響に対する耐性を高める」とされていることを一行ずつメモに書き、自分の週間計画のどこに位置づけているか確認してみてください。
- ランプテストでの血中乳酸測定の流れ(強度を漸増させる運動中に、指先・耳たぶ・親指から採血する)を自分の言葉で短く説明文にしてみてください。
- ラクト酸オキシダーゼ試験紙の原理(乳酸→ピルビン酸への変換と、過酸化水素の電気化学的検出)を一段落で書き写し、自分なりに理解できているか確認してみてください。
- 血中乳酸測定結果に影響する要因として、グリコーゲン状態・環境温度・採取部位・汗の混入・測定器の精度を箇条書きにして、今後の測定時にチェックする項目リストとして保管しておいてください。
- デイリーヘルスアプリを使っている場合は、朝に表示されるコンディションと、その日に行った運動内容をノートやメモアプリに並べて記録してみてください。
上の課題はあくまで記録や理解を深めるための提案なので、自分のペースでできそうなものから一つだけ選んで試してみてください。
この記事は一般的な健康情報であり、医学的な診断や治療に代わるものではありません。体調に不安があれば医療専門家にご相談ください。