ホメロスとはどんな人?『イーリアス』『オデュッセイア』と口承から文字への転換をたどる

ホメロスとはどのような人物かを、『イーリアス』『オデュッセイア』の作者論、盲目説や出身地伝承、口承から文字への移行と教育への影響まで整理し、英語表現の練習例も添えて紹介します。

ホメーロスは伝統的に『イーリアス』と『オデュッセイア』の作者と考えられている人物です。

英語版はホメロスを紀元前8世紀頃生誕の可能性がある古代ギリシアの詩人と記述しています。

ホメーロスは紀元前8世紀末頃のアオイドス(吟遊詩人)であったとされています。

一方で、その実在や作者性については学術的に長年の議論が続いており、いわゆる「ホメーロス問題」と呼ばれています。

英語版は、ホメーロスが古代ギリシア文化で非常に高く尊敬され、教育や文学に大きな影響を与えたと記しています。

ホメーロスという名前と、伝承としての人物像

「ホメーロス」という語は「人質」あるいは「付き従うことを義務付けられた者」を意味するとされています。

古代の伝承では、ホメーロスは盲目であったとする説が広まっていました。

古代にはホメーロスの出身地としてキオス、スミルナ、コロポーンなどイオニアの複数都市が争っていました。

ホメーロスに関する多くの生涯伝承や伝説が古代に形成され、互いに矛盾する出自や逸話が伝えられています。

ホメーロスの名は古代において叙事詩の代名詞のように用いられ、多くの異なる詩が彼に帰されてきました。

『イーリアス』『オデュッセイア』と作者論(ホメーロス問題)

ホメーロスは伝統的に『イーリアス』と『オデュッセイア』の作者と考えられています。

ホメーロスに伝統的に帰されてきた他の作品群(ホメーロス讃歌や小叙事詩群など)は、古代から多くが彼の作とは疑われていました。

学術的にはホメーロスの実在や両叙事詩の単独作者性について長年の議論が続いており、この議論は「ホメーロス問題」と呼ばれています。

近代以降もホメーロスの作者性について、単独作者説・複数説・集団創作説など多様な説が提示されてきました。

現代では『イーリアス』と『オデュッセイア』を別人の作品とみなす学者も存在します。

今日の学界では、両詩は口承で伝えられた素材を用いて一人(または少数)の作者が構成した可能性が有力視されていますが、この問題は未解決のままです。

近代の研究者たちは、『イーリアス』と『オデュッセイア』の原型が口承文化から筆記文化への移行期に成立したと考えています。

紀元前7〜6世紀頃は、ホメーロス詩の原型が口承から筆記へ移行した可能性が指摘されている時期とされています。

作者論の整理(学習用メモ)

近代以降に提示されてきた作者論の代表的な枠組みは、学習のために次のように整理できます。

説の名称学習用の整理メモ
単独作者説一人の詩人ホメーロスが両叙事詩を統一的に作ったとみなす整理のしかた
複数作者説複数の詩人が関与し、現在のテクストはその積み重ねとみなす整理のしかた
集団創作説特定の個人よりも伝承集団全体の創作とみなす整理のしかた

これらは実在の人物像が不確かなホメーロスをどのように捉えるかという、読み方の違いとしても意識しておくと整理しやすくなります。

ホメーロス詩の言語と韻律、口承から文字化まで

ホメーロス詩は『ホメーロス言語』と呼ばれる、主にイオニア方言とアイオリス方言が混在する叙事詩用の言語で書かれています。

『イーリアス』と『オデュッセイア』という両叙事詩は、長短短六歩格(ダクテュロスのヘクサメトロス)で歌われる韻律と密接に結び付いています。

ホメーロスのテクストは長期間にわたり口承で伝播されました。

ミルマン・パリーは、ホメーロス詩に見られる定型句が口承詩のリズム形式を容易にすると示しました。

ペイシストラトスの時代(紀元前6世紀)に、口承詩が文字に書き起こされ写本が整理されたと伝えられています。

ソルボンヌ目録などの断片は、歌の分割や巻の編成がヘレニズム以前にも行われていたことを示しています。

ヘレニズム時代のアレクサンドリアの文法家たちが、ホメーロスの最初期の校訂作業を行ったとされています。

ヘレニズム時代には、アレクサンドリアの文法家ゼーノドトスらがホメーロス本文の校訂・注釈作業を行ったとされています。

1488年には、フィレンツェでホメーロスの両作品の刊行(初版とされる出版)が行われました。

古代から中世の教育とホメーロス

英語版は、ホメーロスが古代ギリシア文化で非常に高く尊敬され、教育や文学に大きな影響を与えたと記しています。

古代から中世にかけてホメーロスの詩は教育で広く用いられ、多くの注釈や解釈が積み重ねられました。

ホメーロスの名は叙事詩の代名詞のように用いられ、多くの異なる詩が彼に帰されてきたという事実は、彼の権威と影響力の大きさを物語るものとして受け止められてきました。

語学学習の視点から見るホメーロス

ホメーロス詩の「ホメーロス言語」は、異なる方言を混ぜ合わせた特別な叙事詩用の言語だとされています。

この言語はダクテュロスのヘクサメトロスという韻律と結びついており、音のパターンに合わせて語形や語順が選ばれていると理解することができます。

ホメーロス詩が長く口承で伝えられたことから、一定のリズムと定型句が記憶や暗唱を助ける役割を果たしたと考えることができます。

ミルマン・パリーは、ホメーロス詩に見られる定型句が口承詩のリズム形式を容易にすると示しました。

語学学習でも、こうした「定型句」や「決まり文句」をまとまりとして覚えることは、表現を素早く取り出す助けになるという観点で参考にできます。

ホメーロスを説明する英語表現(学習用例文)

ホメーロスについて学んだ事実を、そのまま英語表現の練習素材にしてみましょう。

  • Homer is traditionally considered the author of the Iliad and the Odyssey.
  • He was an ancient Greek poet who may have been born in the 8th century BC.
  • His poems were passed down orally for a long time.
  • Scholars still debate the authorship of the Iliad and the Odyssey.

いずれの英文も、本記事で確認した事実だけを用いた学習用の例文であり、実際の発言を再現したものではありません。

アプリと結びつけるなら

アプリ『リトリーバーと語学勉強』では、歴史的人物を選んでその人物を題材にした語学コースを作成できると説明しています。

この説明を踏まえて、ホメーロスを題材にしたコースを自分で設計し、ここで挙げたような英文や語彙を並べて練習する方法を考えてみるのも一案です。

読者へのミニ課題:伝承をまとめて英語で紹介してみる

最後に、本記事の内容を使ったミニ課題を1つ提案します。

  1. まず日本語で、ホメーロスの盲目説・出身地をめぐる複数の説・作者論(単独作者説など)を、それぞれ一文ずつで要約してみてください。
  2. 次に、そのうち一つを選び、上の英語例文を参考にしながら、ホメーロスを紹介する英語文を1〜2文書いてみてください。

学習用の一例として、次のような英文が考えられます。

Homer is traditionally considered the author of the Iliad and the Odyssey, and many legends about his life developed in antiquity.

この英文前半は、「ホメーロスは伝統的に『イーリアス』と『オデュッセイア』の作者と考えられている」という事実に基づく部分であり、後半は「古代に多くの生涯伝承や伝説が形成された」という事実をまとめた学習用の表現です。

この課題を通して、ホメーロスという人物像の揺らぎそのものを、外国語で説明する練習だと思って取り組んでみてください。

ホメロスで外国語を学ぶ

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