ハイキングは健康にいいのか――効果の根拠と、山で本当に気をつけたいこと

ハイキングは心身の健康によい効果が期待できる長い歩行です。一方で地形・天候・標高の危険もあるので、その日の体調に合う道を選びましょう。

ハイキングには、体と心の両方の健康によい効果が期待できます。ハイキングとは、主に郊外の山道や遊歩道を長く、しっかりした足取りで歩くことです。 ただし近所の散歩とは違い、足場の悪い地形や天気の急変、道に迷うといった危険もあります。 大切なのは「健康にいいかどうか」だけでなく、今朝の自分の体に合ったコースを選ぶことです。

ハイキングとトレッキングの違い

呼び方は国によってさまざまです。アメリカやカナダでは山道を長く歩くことをハイキングと呼び、短い街歩きはウォーキングと区別します。 オーストラリアではブッシュウォーキング、ニュージーランドではトランピングという言葉が使われます。 トレッキングは山岳地帯を何日もかけて歩くことを指し、テントや山小屋に泊まりながら数日歩く旅はバックパッキングと呼ばれます。 半日の森歩きと一週間の山旅では、体にかかる負担がまったく違います。

健康効果について言えること

ハイキングは体と心の健康によい影響を与える可能性があるとされています。 変化に富んでいて仲間と歩く楽しさもあるため、減量や体重管理のきっかけになりうるという研究者の指摘もあり、ほかの多くの運動より費用がかからない点も挙げられています。

ハイキングの中身は歩くことなので、歩行の研究も参考になります。ただし、その多くは限られた研究にもとづいています。 2023年の研究では、1日2,337歩以上で心血管病による死亡リスクが、1日3,867歩で全死因の死亡リスクが低いことと関連していました。 また週2.5時間の早歩きで、うつ病のリスクがおよそ25%下がる可能性も示されています。 これらはあくまで関連であって、一人ひとりへの約束ではありません。

ポールと坂道

トレッキングポールは歩くリズムを保ち、体を安定させ、でこぼこ道で関節への負担を減らす助けになります。 平らで滑らかな道ではあまり必要ありませんが、急な斜面や足場の悪い場所では横方向の安定に役立ちます。 重いザックを背負うときには特に勧められています。

ポールを使うと運動の中身も変わります。スキーのストックに似たポールを使うノルディックウォーキングは、ポールなしで歩くより酸素とエネルギーを多く使います。 歩く速さは地形や路面、荷物の重さで変わるため、坂の多いコースは距離から想像するよりずっときつく感じられます。 コースは距離だけでなく、登りの量と足元の状態で判断しましょう。

山で起こりやすいトラブル

ハイキングの危険は地形、天候、道迷い、持病などから生まれ、高い山や川・氷河の渡渉、雪や氷の上では特に大きくなります。 よく挙げられるのは脱水、凍傷、低体温症、日焼け、日射病、下痢で、足首のねんざや骨折も起こりえます。 攻撃的な動物や有害な植物、高い場所での落雷にも注意が必要です。

だからといって家にこもる必要はありません。天気予報を確かめ、経験に合ったコースを選び、行き先を誰かに伝え、引き返すなら遅すぎるより早めに、ということです。

雨と低体温症

低体温症はすべてのハイカー、とりわけ経験の浅い人にとって危険です。 ひどく寒い日でなくても、ふつうの雨や霧が体を強く冷やします。 医学的には体の中心の温度が35℃を下回った状態を指し、軽いうちは震えや混乱として現れます。 体を濡らさず適切な服装をすることが予防になり、濡れても乾いていても、綿より化学繊維やウールのほうが保温性に優れます。

標高が上がるとき

高山病はふつう標高2,500mを超えると起こりますが、もっと低いところで症状が出る人もいます。 軽いものでは頭痛、吐き気、だるさ、眠りの浅さ、めまいが出て、2,500mまで急に登った人のおよそ20%に起こります。 体力があってもリスクは下がらないとされています。 予防の基本はゆっくり高度を上げることで、1日に300mを超えて上げないこと、最初の1〜2日は激しい運動と飲酒を控えることが挙げられています。 重い症状に確実に効くのは高度を下げることだけです。

持ち物の基本

山岳会ザ・マウンテニアーズの「10の必携品」には、コンパス、サングラス、日焼け止め、ヘッドランプ、救急セット、火をおこす道具、ナイフが含まれ、帽子や手袋、非常用ブランケットもよく加えられます。 足元は昔ながらの頑丈な登山靴に加え、最近はトレイルランニングシューズを選ぶ人も増えています。 自然環境は壊れやすく、人の気配に敏感な生き物もいるため、多くのハイカーは「痕跡を残さない(Leave No Trace)」という考え方に沿って、ごみを持ち帰るなどの配慮をしています。 山で火を扱うことは特に危険だとされています。

回復が低い日の歩き方

ハイキングは長く続く低強度の運動なので、調整がききます。安静時心拍がいつもより高い、HRVが低い、よく眠れなかった――そんな朝の数字は判定ではなく、手がかりです。長い登りの代わりに近くの平らな短いコースを、会話ができるくらいのペースで歩く、という選び方ができます。大きな山は、よく休めた日まで待ってくれます。

それでも体の感覚がいちばん大事です。歩き始めてしばらくしても重だるさが抜けない、めまいがする、いつもより息が切れるといったときは、ペースを落とすか引き返しましょう。歩いたあとに膝や足首の痛みが長引くなら、専門家に診てもらってください。

まとめ

質問 短い答え
ハイキングは運動になる? 心身の健康によい影響が期待できる
主な危険は? 地形、天候、道迷い、持病
ポールは役立つ? 急な道やでこぼこ道で体を安定させる
雨や寒さには? 濡れないこと、綿を避けて重ね着
疲れている日は? 短く平らなコースをゆっくり

ハイキングは、意気込みより根気に応えてくれる運動です。今日の体に合ったコースを選び、変わるかもしれない天気に備え、一度の大きな登山よりも、季節をまたいで外を歩き続ける習慣を育てていきましょう。

この記事は一般的な健康情報であり、医学的な診断や治療に代わるものではありません。体調に不安があれば医療専門家にご相談ください。

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