マクスウェルは何を発見したのか?「光は電磁波」を示した物理学者
マクスウェルは電気・磁気・光をひとつの理論にまとめ、電磁波の存在を予言しました。土星の環の正体や最初のカラー写真まで、その業績をやさしく解説します。
ジェームズ・クラーク・マクスウェル(1831–1879)は、電気・磁気・光がじつは同じひとつの現象であることを明らかにしました。彼の方程式によると、変化する電場と磁場は波となって空間を伝わります。その波の速さを計算すると、ほぼ光の速さと一致したのです。 そこから彼は「光は電磁波である」と提唱し、この考えはその後十分に確かめられて、ラジオやテレビ、Wi-Fi、携帯電話の土台になりました。 ほかにも土星の環の正体を解き明かし、最初の長持ちするカラー写真を披露し、気体の統計物理学の基礎も築きました。
「おばかさん」と呼ばれた少年
マクスウェルは1831年6月13日、エディンバラのインディア・ストリート14番地で生まれました。生家は現在、博物館になっています。 10歳でエディンバラ・アカデミーに入ると、手作りの靴や変わった服、田舎なまりのせいで「ダフティ(おばかさん)」とあだ名をつけられました。
ところが実際は大変な秀才でした。14歳で、ひもを使って楕円のような曲線を描く方法について最初の論文を書き、本人は若すぎるという理由で、教授が代わりにエディンバラ王立協会で発表しました。
ケンブリッジから25歳で教授へ
エディンバラ大学ではゼラチンの塊を使った実験で光弾性を発見し、1850年にケンブリッジ大学へ進みました。 1854年に数学の成績2位にあたる「セカンド・ラングラー」で卒業し、1856年にはアバディーンのマリシャル・カレッジで自然哲学の教授になりました。
土星の環は何でできている?
アバディーン時代、マクスウェルは「土星の環は何でできているのか」という懸賞問題に挑みました。望遠鏡ではなめらかな板のように見えますが、彼は数学の力だけで、環は無数の小さな粒子でできているはずだと示し、1859年にアダムズ賞を受けました。 はるか遠くの謎を紙とペンで解いたのです。
最初のカラー写真
赤・緑・青の光を混ぜると多くの色が作れる、というのがカラー写真の考え方です。1861年、ロンドンの王立研究所での講演で、マクスウェルはトーマス・サットンが撮影したタータンチェックのリボンの画像を使い、長持ちするカラー写真を初めて披露しました。 今あなたが見ている画面も、同じ赤・緑・青の原理で色を出しています。
光は電磁波だった
最大の仕事は1860年代初め、ロンドンのキングス・カレッジで生まれました。鍵になったのは「変化する電場は磁場を生む」という考えで、マクスウェルはこれを「変位電流」と呼びました。 変化する磁場が電場を生むことはすでに知られていたので、両方を合わせると、電場が磁場を生み、その磁場がまた電場を生む、という連鎖が起き、波となって何もない空間を進みます。
1862年ごろ、その波の速さを計算すると、測定されていた光の速さとほぼ同じになりました。 1865年の論文で彼は、光そのものが電磁的な波であると提案します。 こうして光学と電磁気学がひとつになりました。理論の完成形は1873年の『電気磁気論』にまとめられ、今日の簡潔な4つの方程式の形はオリヴァー・ヘヴィサイドによるものとされています。
4つの方程式を言葉で言うと
数式を使わずに表すと、マクスウェルの方程式はおおよそ次のことを言っています。
- 電荷は電場を作り、電場はプラスの電荷から出てマイナスの電荷へ向かう。
- 磁石の「北極だけ」「南極だけ」は単独では存在しない。
- 変化する磁場は電場を生む。発電機はこの仕組みで電気を作る。
- 電流と変化する電場は磁場を生む。
たった4つの短い文から、ラジオ、レーダー、電子レンジ、モーター、そして星の光までが説明できる。そう考えると、この理論がどれほど大きな発見だったかが実感できるのではないでしょうか。
気体、悪魔、そして研究所
1859年から1866年にかけて、気体分子の速さの分布を統計的に表す「マクスウェル–ボルツマン分布」を導き、1867年には分子をより分ける小さな存在を考える思考実験「マクスウェルの悪魔」を考案しました。 1871年にはケンブリッジ大学の初代キャヴェンディッシュ教授となり、キャヴェンディッシュ研究所の建設を指揮しました。
1879年11月5日、腹部のがんのため48歳で亡くなりました。母親と同じ病気、同じ年齢でした。 のちにアインシュタインは、マクスウェルとともにひとつの科学の時代が終わり、新しい時代が始まったと語っています。 物理学誌『フィジックス・ワールド』が著名な物理学者100人に行ったアンケートでは、ニュートン、アインシュタインに次ぐ史上3位に選ばれました。 学校で「おばかさん」と呼ばれた少年は、物理学の歴史を大きく塗り替えたのです。
マクスウェルで学ぶ日本語表現
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 点と点がつながる | ばらばらの知識が結びつく | 文法を学んで、点と点がつながった。 |
| 表裏一体 | 切り離せない関係にある | 読むことと書くことは表裏一体だ。 |
| 偶然ではない | ちゃんとした理由がある | 上達したのは偶然ではない。 |
| 時代を先取りする | 時代より先に進んでいる | 彼の考えは時代を先取りしていた。 |
| 謎を解き明かす | わからなかったことをはっきりさせる | 土星の環の謎を解き明かした。 |
練習: マクスウェルは別々に見えるものをひとつにまとめました。語学で「表裏一体」だと思う2つの力について、「点と点がつながる」「偶然ではない」を使って日本語で3文書いてみましょう。