「四季」とは何か?ヴィヴァルディの作品8と楽譜の版、各季節の情景をたどる

「四季」はヴィヴァルディの協奏曲集作品8の第1〜4曲の総称です。名称の由来、初版と筆写譜の違い、各季節の情景、後世への広がりを整理し、英語表現の練習も一つ紹介します。

「四季」とは、ヴィヴァルディの協奏曲集『和声と創意の試み』作品8のうち、第1から第4曲の「春」「夏」「秋」「冬」の総称です。各曲は3つの楽章から成り、各楽章にソネットが付されています。4曲を通して演奏する場合の演奏時間は約40分です。この記事では、呼び名の成り立ち、楽譜の版、季節ごとの情景、後世への広がりの順に確かめ、最後に外国語表現の練習を一つ試します。

「四季」という呼び名はどこから来たのか

ヴィヴァルディ自身は、作品8の献辞以外で、これら4曲を「四季」と称したことはありません。つまり「四季」は後からまとめて呼ばれる総称であり、もとは作品8という曲集の一部です。曲集全体の題は『和声と創意の試み』です。有名な4曲だけを切り出して聴くと、この大きな曲集の中に位置していることを忘れがちなので、ここで押さえておきます。

各楽章に付されたソネットの作者は不明ですが、ヴィヴァルディ自身の作という説もあります。あくまで説であり、確定した事実ではありません。ソネットは各楽章に付されているので、季節ごとの情景を詩と音楽の両方から確かめる手がかりになります。詩を先に読んでから録音を聴くと、どの場面を音にしているのかを追いやすくなります。

初版と筆写譜では何が違うのか

1725年にアムステルダムのル・セーヌが初版パート譜を出版しました。一方、マンチェスター公共図書館は、初版と記譜や指示に差異がみられる筆写パート譜を所蔵しています。差異の一例として、筆写パート譜では〔雷〕音型が第2ヴァイオリンにも入っています。楽譜が複数あるため、同じ曲名でも録音ごとに聞こえ方が異なる場合があります。

ナイジェル・ケネディ、ジャニーヌ・ヤンセン、ファビオ・ビオンディは、マンチェスター稿を好んで採り上げました。クリストファー・ホグウッドは、2000年のベーレンライター社版の校訂で、この筆写譜の特徴を採用しました。どの演奏家がどの稿を選んだかを知ると、録音を聴き比べる視点が一つ増えます。

G.ヘンレ社は2022年から新校訂版を告知していますが、2026年になっても刊行されていません。初版の出版から新校訂版の告知まで、版をめぐる話は今も続いている途中です。刊行の状況は変わりうるため、最新の情報は出版社の案内で確認してください。

通奏低音のチェンバロとオルガン

通奏低音のオルガンは、一般に小型パイプオルガンを指します。ただしヴィヴァルディの時代には、チェンバロを含む鍵盤楽器全般を指しました。現代の言葉の感覚だけで読むと、楽器の想定を取り違えるおそれがあります。楽譜の用語は、時代の使い方に合わせて読む必要があります。

『秋』第2楽章の通奏低音には、「チェンバロはアルペッジョで」という指示が書き込まれています。楽譜に具体的な指示があるので、録音を聴くときにチェンバロの動きへ耳を向ける手がかりになります。派手な旋律の陰にある伴奏の動きにも、聴きどころがあります。

春・夏・冬の楽章が描く情景

「春」第1楽章では、鳥の声をソロヴァイオリンが高らかに華やかにうたいあげます。「夏」第3楽章では、上空の雷鳴と雹が、伸びた穀物を打ち倒します。この2つは、自然の明るさと荒々しさが同じ曲集の中で描き分けられていることを示す例です。

「冬」第2楽章は、外は大雨で、室内では暖炉で満ち足りて休む平和な時間を、ゆったりしたテンポで表します。外の天気と室内の穏やかさという対比が、一つの楽章の中に収まっています。夏の雷雨の激しさと聴き比べると、同じ雨でも描かれ方が違うことに気づけます。

後世の作品への広がり

歌劇『嵐の中のドリッラ』の合唱曲『そよ風のささやきに』は、「春」第1楽章の旋律を一部転用しています。1768年には、ミシェル・コレットが『主をほめたたえよ』を作曲し、春の音楽素材を借用しています。『白い道』は「冬」第2楽章を編曲した楽曲で、北原ミレイが歌いました。原曲の旋律が別の形で聴ける例なので、聴き比べの題材になります。

フィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲第2番『アメリカの四季』は、『四季』の関連作品として2009年に初演されました。マックス・リヒターは、『四季』を再構成した作品を2012年に初演しました。転用、編曲、関連作品、再構成と、後世の関わり方はさまざまです。

情景を二つの言語で書く練習

ここでは、この記事の事実を素材にした自作の練習を一つ出します。課題は、「冬」第2楽章の場面を日本語と英語で一文ずつ書くことです。素材は、外は大雨で室内では暖炉のそばで休むという情景です。まず日本語で書き、次に英語へ移してみてください。

例として、次の答案を挙げます。日本語は「外は大雨だが、室内では暖炉のそばで穏やかに休んでいる。」、英語は It is raining hard outside, but inside, people rest peacefully by the fire. です。これは練習用の例文であり、誰かの実際の発言ではありません。解説すると、外と内の対比を outside と inside で並べ、but でつなぐのがポイントです。

アプリには、問題ごとに人物が直接話しかけるレッスン形式があると示されています。ただし、その対話はAIが人物を再現したもので、実際の発言ではないと明記されています。この記事ではアプリでの収録内容には触れていません。次は、お好みの録音で「冬」第2楽章を聴き、印象を一文で記録してみましょう。

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