『魔笛』とはどんなオペラ?モーツァルト最後の完成作を、1791年の年表と登場人物でたどる

『魔笛』は1791年作曲のジングシュピールで、モーツァルトが最後に完成させたオペラ。初演までの年表、台本のシカネーダー、物語と登場人物を整理し、日本語での要約練習も紹介します。

『魔笛』は何を指す作品か

『魔笛』は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが1791年に作曲したジングシュピールで、生涯最後に完成させたオペラです。台本を書いたのはエマヌエル・シカネーダーで、自分の一座のために書いたものです。初演は1791年9月30日にウィーンのヴィーデン劇場で行われ、大好評を博しました。作曲者、台本作者、初演の日付と場所、この四点を押さえると作品の輪郭がつかめます。

歌や会話はドイツ語で、レチタティーヴォに代えて台詞で筋を進める形式が用いられました。つまり、歌と話し言葉が交互に現れる作りの作品です。この構造は、読む部分と歌う部分を分けて整理するときの手がかりになります。以下では、まず1791年の動きを追い、そのあと台本、物語、音楽の順に見ていきます。

1791年、作曲から初演まで

モーツァルトは1791年3月から9月にかけて作曲を進め、9月28日に完成させました。初演はその2日後の9月30日です。この初演はモーツァルトの死のわずか2か月前でした。完成から初演まで間がないという点は、年表に並べるとよくわかります。

初演後の動きも記録に残っています。10月14日、モーツァルトは妻に手紙を書き、サリエリが公演を聴きに来たと伝えました。12月には、死の床にあったモーツァルトが上演の進行を気にしていたといいます。どちらも、作曲が終わったあとも作品が彼の関心の中にあったことを示す年表上の記述です。

初演の舞台となったヴィーデン劇場は、ウィーン郊外のフライハウス内にあり、シカネーダーが管理していました。1789年には、シカネーダーの一座がこの劇場の常設劇団となっています。つまり1791年の初演は、一座が劇場に腰を据えてからの上演でした。作曲者だけでなく、上演する側の事情も合わせて見ると、作品の置かれた場所がはっきりします。

台本を書いたシカネーダーと一座

台本は、シカネーダーが自分の一座のために書きました。資料には、ヨーロッパ各地を巡業していた一座の上演の一環として、このオペラが創作されたという説明もあります。ここで大事なのは、この作品が上演する一座の存在を前提に書かれたという点です。誰のために書かれたかを意識すると、作品の見え方が少し変わります。

台本は、ギーゼケの『オーベロン』など他作品のアイデアを流用したものとされます。一方で、パパゲーノは道化的な役柄で、シカネーダー自身が演じた役です。台本作者が舞台にも立っていたことは、人物と上演の距離の近さを物語ります。他作品との関わりと自作自演という二つの面を、分けて覚えておくと整理しやすくなります。

モーツァルトはフリーメイソンの会員であり、シカネーダーもその会員でした。作品には「3」を象徴的に用いる箇所が多く、フリーメイソンの儀式で使われる和音が序曲や神殿の場面で鳴ります。ここでは、会員であったことと作品に表れる特徴を、資料にある範囲で並べるにとどめます。「3」がどこに現れるか探すことは、読み方の入り口になります。

物語と登場人物を整理する

物語では、夜の女王がタミーノに娘パミーナの救出を頼みます。タミーノは試練を経て、ザラストロの共同体の理想に加わります。主人公が頼まれて出発し、試練を通って別の場所に至るという流れです。人物の名前と役割をこの順に書き出すだけでも、あらすじの骨組みができあがります。

物語は王子による姫の救出劇として始まりますが、途中で善玉と悪玉が入れ替わります。始まりの救出劇と、そのあとの試練とでは、物語の性格が変わるということです。要約を書くときは、前半と後半を分けて書くと混乱しません。誰がどの立場で現れ、のちにどう見え方が変わるのかを、人物ごとにメモするのも一つの方法です。

パパゲーノは試練に失敗しますが、理想の伴侶パパゲーナを与えられます。先に触れたとおり、パパゲーノは道化的な役柄です。タミーノの試練とパパゲーノの結末を並べると、同じ試練でも人物によって結末が異なることがわかります。二人を対比して一文ずつ書くのは、手軽で効果的な整理の仕方です。

音楽の特徴と後世の受け止め

夜の女王の2つのアリアは、至難のコロラトゥーラ技巧を要する難曲です。夜の女王は物語の発端でタミーノに救出を頼む人物でもあります。登場人物としての役割と、歌い手に求められる技巧の高さを、一緒に覚えておくとよいでしょう。作品を聴くときは、どの場面でどの人物が歌っているかを意識してみてください。

編成には、二本のフルート、二本のオーボエ、ティンパニ、弦楽器などが含まれます。題名に笛が入っているため、楽器の名前に注意が向きやすい作品です。編成を知ったうえで聴くと、どの楽器の音が聞こえているかを確かめる楽しみが加わります。細かな楽器の役割までは、ここでは確認できた範囲を超えるので踏み込みません。

ゲーテは『魔笛』を愛し、第2部の執筆を試みたが断念したとされます。初演が大好評だったという記録と並べると、この作品が同時代から後の時代まで関心を集めたことがうかがえます。続きを書こうと考えた人がいたという事実は、物語に余白を感じた人がいたことの一つの表れかもしれません。ただし、ゲーテの意図を確かめる材料はここにはないので、想像の域にとどめます。

読者の課題:あらすじを三文で書いてみる

ここまでの内容を使って、日本語で書く練習をしてみましょう。次の練習問題は、この記事の事実をもとに筆者が作ったもので、実際の発言や台詞ではありません。まずは自分で書いてから、例を見てください。

例の答えは次のとおりです。「夜の女王に頼まれたタミーノは、娘パミーナの救出に向かう。タミーノは試練を経て、ザラストロの共同体の理想に加わる。パパゲーノは試練に失敗するが、パパゲーナを与えられる。」。この例は、一文につき一つの出来事だけを書き、人物名と動詞をはっきり結んでいます。

短い解説です。一文に出来事を一つだけ入れると、主語と述語がずれにくくなります。慣れてきたら、「3」が出てくる箇所を探して書き出したり、1791年の出来事を時系列で並べて年表にしたりしてみてください。毎日少しずつ書き溜めて、自分の言葉で感想を一行添えるのもおすすめです。

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