『ナブッコ』とはどんなオペラ?ヴェルディ出世作の題名の意味と「行け、我が想いよ」の伝説
『ナブッコ』はヴェルディ作曲の全4幕のオペラで、1842年にスカラ座で初演された出世作です。題名の意味、初演の配役、合唱の伝説、題名の変遷を、日本語の練習問題とともに整理します。
『ナブッコ』は、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した全4幕のオペラです。題材は旧約聖書の『エレミヤ書』と『ダニエル書』から取られています。1842年3月9日にミラノ・スカラ座で初演されました。ヴェルディにとって3作目のオペラで、初めて大成功を得た出世作として知られています。この記事では、題名の意味、台本、初演の配役、有名な合唱の伝説、題名の変遷を順にたどります。
題名の「ナブッコ」とは誰の名前か
ナブッコは、日本では普通ネブカドネザルとして知られるバビロニアの王の名前です。物語の時と場所とされるのは、紀元前587年のエルサレムとバビロンです。同じ人物でも日本語の資料では呼び方が違うため、調べるときは両方の名前を使うと見つけやすくなります。
原作の一つは、1836年にパリで初演された戯曲『ナブコドノゾル』です。作者はオギュスト・アニセ=ブルジョワとフランシス・コルヌです。オペラの台本を作成したのは、テミストークレ・ソレーラです。戯曲の題名と、オペラの題名の響きを見比べてみると、名前が音の面でも変化していることがわかります。
オペラの題名が『ナブッコ』に短縮されたのは、1844年のコルフでの上演が最初とされています。つまり、いま私たちが目にする短い題名は、初演当時から固定されていたわけではありません。題名ひとつにも、作品が各地へ広がった跡が残っています。
作曲の経緯と初演の顔ぶれ
作曲は1841年秋頃にほぼ完成したとされます。ただし、作曲の経緯は意外なほど判明していない、と記されています。有名な作品でも、成立の細部がわからないことは珍しくありません。わからない部分を「わからない」と書き分けることも、調べものの大切な作法です。
初演は1842年3月9日、ミラノ・スカラ座で行われました。ナブッコ役を務めたのは、バリトンのジョルジョ・ロンコーニです。アビガイッレ役は、ソプラノのジュゼッピーナ・ストレッポーニが務めました。主役の王をバリトンが歌った、という点は覚えておきたい配役です。
上演はスカラ座の外へも広がりました。1843年4月にウィーンで上演され、これがイタリア半島外での初演となりました。1848年にはニューヨークでも上演されています。初演から数年のあいだに、作品が国境を越えて受け入れられていったことが年表から読み取れます。
第4幕の結末と「行け、我が想いよ」
第4幕第2場で偶像が崩壊し、ナブッコはエホバの神を讃えてヘブライ人の釈放を宣言します。物語の終盤は、この場面で大きく動きます。あらすじを短く書くときは、この結末を押さえておくと全体がまとまります。
第3幕の合唱「行け、我が想いよ」は、今日のイタリアで国歌並みに有名な旋律になったとされます。2006年2月26日には、トリノオリンピックの閉会式でこの合唱が用いられました。オペラの一曲が、時代を超えて大きな場で使われ続けていることがわかります。
初演時にこの合唱が熱烈なアンコールを受けた、という有名な伝説があります。ところが、この伝説には近年、疑問が投げかけられています。ロジャー・パーカーの調査では、スカラ座初演時にアンコールを求められたのは「偉大なるエホバ」だったとされています。広く知られた話と検証の結果が食い違うときは、両方を並べて読むのがよい方法です。
題名が変わった上演と各地の受容
1846年3月3日のロンドン初演では、題名が『ニーノ』に変えられました。理由は、旧約聖書の内容を舞台化することへの反対論に配慮したためです。この上演は、英国初演でもありました。題名の変更は、作品が土地ごとの事情に合わせて受け入れられた例として読めます。
日本での初演は、1971年6月25日に行われた演奏会形式の公演でした。演奏会形式とは、舞台装置を使わず音楽を中心に聴かせる形のことです。日本では、まず音楽として紹介されたという点が、年表から確かめられます。
メトロポリタン歌劇場では、1960/61シーズンから上演されています。1842年の初演から、各地の劇場で上演が積み重ねられてきたことになります。年表を自分で作り直すと、その広がりが目で確かめられます。
日本語で書く練習:呼び方の違いを二文にまとめる
ここまでの事実を使って、練習問題を一つ出します。「『ナブッコ』と『ネブカドネザル』の呼び方の違いを、日本語で二文にまとめてください」というものです。条件は、断定できることと「とされる」と書くべきことを書き分けることです。まず自分で書いてから、下の例と見比べてみてください。
例答はこうです。「ナブッコは、バビロニアの王の名前です。日本では普通、ネブカドネザルとして知られています。」これは練習のための例であり、誰かの実際の発言ではありません。
解説です。一文目は、王の名前という事実だけを短く言い切っています。二文目の「として知られる」は、日本での呼び名を述べる表現です。伝説の検証のように言い切れない内容には、「とされる」や「疑問が投げかけられている」が使えます。
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