レース直前の練習量はどう減らす?テーパリングで疲れを抜いて本番に合わせる

テーパリングは大事な試合の直前に運動量を減らすことです。マラソンなら少なくとも2〜3週間、短い種目なら1週間ほどが目安とされます。

レース前の最後の期間は、きつい練習を足すのをやめて、運動量を少しずつ減らしていくのが基本です。これをテーパリングと呼び、大事な試合の直前の数日間に運動を減らすことを指します。 長距離走や水泳のような持久系競技でも、ウエイトリフティングや短距離走のような筋力系競技でも、広く行われています。 体力はそれまでの練習でほぼ出来上がっています。残りの期間でやるのは、その練習でたまった疲れを抜くことです。

テーパリングの期間はどのくらい?

テーパリングの期間は、一週間かそれ以上になることがよくあります。 比較的短い持久系レースなら一週間かそれ以下で足りますが、マラソンのような種目では少なくとも二、三週間かけるとされています。

大まかには、長い種目ほどテーパリングも長くなります。ただしウルトラマラソンや何日も続くレースのように極端に長い競技は、この目安の例外とされています。 水泳では逆に、長距離の選手は一週間以下しか減らさないことが多く、筋力系の選手は最長で三週間ほどかけるといいます。 正解の日数は一つではなく、種目や自分の経験によって変わります。

なぜ練習を減らすと速くなるのか

テーパリングに関する五十の研究をまとめたレビューでは、激しい持久系トレーニングで大きく減っていた筋グリコーゲン、酵素、抗酸化物質、ホルモンが、テーパリング中に最適な水準に戻ることが示されています。 つまり、エネルギーのタンクが満たされ、練習で酷使してきた仕組みが追いつく時間ができるのです。

もう一つの考え方が超回復です。トレーニングをすると体力はいったん下がり、回復期間に元のレベルまで戻り、そのあと元のレベルを超える超回復の期間に入ります。続けてトレーニングを行わないと、体力は次第に基礎レベルへ落ちていきます。 この理論は、ロシアの科学者ニコライ・ヤコブレフが1949年から1959年にかけて示したものです。 テーパリングは、この「元より高くなる時期」をレース当日に合わせようとする工夫だと考えると分かりやすいでしょう。

シーズン全体の中での位置

期分けされたトレーニングでは、マクロサイクルが一シーズン全体を指し、その年の目標の試合でピークを迎えることを目指します。マクロサイクルは準備期、試合期、移行期に分かれます。 試合期は、テーパリングと試合そのもので終わります。 本番前の試合では、レース前の食事や新しい道具、作戦、そして自分に合うテーパリングの長さなどを試すことができます。

すべてのレースで本格的に練習を減らす必要はありません。優先度の高い前哨戦にははっきりしたテーパリング期間を設け、優先度の低いレースは練習の一部として組み込んでしまうこともあります。 市民ランナーなら、近所の小さな大会は練習の延長、目標のフルマラソンだけはしっかり調整、という分け方が現実的です。

最後のロング走が区切りになる

テーパリングに入る直前には、実際のレースの距離や条件をまねた練習が山場として置かれることがよくあります。 アメリカの五輪代表を二度経験したピート・フィッツィンジャーは、テーパリングの前には最後のロング走を置くべきだと述べています。

この最後の大きな練習で、ペースと体力が仕上がっていることを確かめ、カレンダーに区切りをつけます。そこから先の目的は、積み上げることではなく、整えて休むことです。区切りのあとに「念のためもう一本」ときつい練習を入れるのは、疲れたままスタートラインに立つ典型的なパターンです。

テーパリング中の過ごし方

テーパリングでは、短い期間で少しずつ運動量を減らし、試合の直前には完全に休むこともあります。 最初の数日は脚が重い、そわそわすると感じる人が多く、体力が落ちたと不安になりがちです。けれども多くの場合、それは余ったエネルギーに体が慣れていないだけです。

一週間のリズムは保ちつつ、一回ごとの練習を小さくするのが実践しやすい方法です。走る距離を短くし、自転車はゆるめにし、速い動きはレースペースを思い出す程度の短い刺激にとどめます。睡眠と食事と落ち着いた時間が、この時期の主なトレーニングになります。

回復スコアで調整の手応えを見る

テーパリング中は、回復スコアがとくに役に立つ時期です。この期間の目的そのものが回復だからです。うまく進んでいれば、夜間の心拍数や心拍変動、睡眠は、レースが近づくにつれて落ち着いていくはずです。

最後の週になってもスコアが低いままなら、軽く見ないでください。十分に休んだあとも朝の安静時心拍数が高いままであることや、心拍変動の減少は、オーバートレーニングの兆候として挙げられています。 スコアが低い日は練習を短くするか休みに替えるのが正解で、「体力が残っているか確かめる」ためにきつい練習を入れるのは逆効果です。何か月もかけて作った体力は、数日の軽い練習では消えません。

オーバーリーチとオーバートレーニングの違い

レース前の追い込み期には、一時的に疲れがたまるのは珍しくありません。オーバーリーチは、ハードなトレーニングをしていても十分に回復できている状態で、そのときのパフォーマンス低下は数日から数週間で解消できるとされます。 これに対してオーバートレーニングは、適切な回復なしにハードなトレーニングを続けている状態です。

テーパリングは、追い込み期のオーバーリーチ気味の疲れを、本番までにきちんと回復へ向かわせる期間ともいえます。逆に言えば、この時期にまで練習を詰め込むと、回復の機会を自分で消してしまうことになります。

安全のために

テーパリングはもともと負荷を下げる期間ですが、体の声には引き続き耳を傾けてください。熱がある、体調が悪い、動き方が変わるほどの痛みがある場合は、レースに出る前に医師や理学療法士に相談しましょう。回復スコアは練習を調整するための一般的な情報であり、医学的な判断ではありません。

この記事は一般的な健康情報であり、医学的な診断や治療に代わるものではありません。体調に不安があれば医療専門家にご相談ください。

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