『ノートルダム・ド・パリ』の結末は?ディズニー『ノートルダムの鐘』とは違うユーゴー原作のあらすじ

ユーゴーの原作小説では、エスメラルダは処刑され、カジモドはフロロを塔から突き落とします。原作のあらすじと結末、ディズニー版との違いをわかりやすくまとめました。

ユーゴーの原作『ノートルダム・ド・パリ』は悲劇で終わります。エスメラルダは処刑され、それを大聖堂の塔の上から見届けるフロロを、カジモドは塔から突き落として殺します。数年後、処刑場を掘り起こすと、エスメラルダと思われる白骨に異様な骨格の男の白骨が寄り添っており、引き離そうとすると砕けて粉になってしまいました。 ディズニー映画『ノートルダムの鐘』は、原作と違ってハッピーエンドで終わります。 原作はヴィクトル・ユーゴーのゴシック小説で、1831年に出版され、『ノートルダムのせむし男』という邦題でも知られています。

題名の主役は「大聖堂」

フランス語の原題『ノートルダム・ド・パリ』は「パリのノートルダム」、つまり大聖堂そのものを指しています。英語版の題『The Hunchback of Notre-Dame(ノートルダムのせむし男)』は1833年の英訳から広まったもので、ユーゴーは一人の人物だけに焦点を当てたこの題に不満だったといわれます。彼にとってこの小説は、フランスのゴシック建築を守ろうという訴えでもあったからです。

ちなみにディズニー映画の邦題が『ノートルダムの鐘』になったのは、「せむし」という言葉がマスメディアで差別語とされるようになったためで、こうした変更が行われたのは世界でも日本だけだそうです。

主な登場人物

舞台は1482年のパリです。教会の権力が弾圧と排除を生む時代の物語として描かれています。

  • エスメラルダ:美しく純真なジプシーの娘で16歳。ヤギのジャリを連れています。
  • カジモド:大聖堂の鐘つき男で20歳。背中と目の上にこぶがあり、「不完全」という意味の名を付けられました。
  • クロード・フロロ:カジモドの養父で36歳の聖職者。エスメラルダへの思いと神への献身の間で苦しみます。
  • フェビュス:王室射手隊の隊長。婚約者がいるのにエスメラルダにも言い寄る男です。

フロロは幼いころから両親に聖職者になるよう育てられ、ひたすら学問に打ち込んで今の地位を得た人物でした。 カジモドは長年鐘をつき続けたせいで耳がほとんど聞こえず、片目もよく見えません。

あらすじ:さらし台の一杯の水

物語は、ノートルダム大聖堂の前に捨てられていた醜い赤ん坊から始まります。大聖堂の助祭長フロロに拾われた彼はカジモドと名付けられ、成長して大聖堂の鐘つきになりました。

やがてパリに来た踊り子エスメラルダに、聖職者であるフロロは心を奪われます。欲情に悩んだ彼は、ついにカジモドを使って彼女をさらおうとしますが、カジモドは捕らえられ、エスメラルダは彼女を救った衛兵隊長フェビュスに恋をします。

捕まったカジモドは広場のさらし台に立たされますが、ただ一人エスメラルダだけが彼をかばいました。のどの渇きを訴えるカジモドに、水を飲ませたのが彼女だったのです。 生まれて初めて人の優しさを知ったカジモドは、彼女に恋をします。

嫉妬、濡れ衣、そして聖域

フロロは逢い引きをする二人のあとをつけ、フェビュスを刺して逃げます。エスメラルダはその殺人未遂の濡れ衣を着せられ、魔女裁判で死刑を言い渡されました。 処刑の直前、カジモドは大聖堂から綱を伝って降り、彼女を救い出して大聖堂にかくまいます。そこは法律で守られた聖域だったのです。 けれどもエスメラルダは、カジモドの外見をまともに見ることさえできませんでした。

やがてエスメラルダを救おうとした「奇跡御殿」の人々が大聖堂に押し寄せますが、カジモドは彼らが彼女を傷つけに来たと勘違いして追い払ってしまいます。 混乱のなか、フロロはエスメラルダを連れ出し、命を助ける代わりに自分のものになれと迫りますが、彼女はきっぱりと拒みました。 さらに、ジプシーを憎む修道女が、実は幼いころにさらわれたエスメラルダの母だったことがわかります。しかし再会の喜びもつかの間、兵士たちが彼女を連れ去っていきました。

詩人グランゴワールと「奇跡御殿」

脇役にも印象的な人物がいます。おしゃべりな自称詩人ピエール・グランゴワールは、悪党たちの巣窟「奇跡御殿」に迷い込んで絞首刑になりかけたところをエスメラルダに助けられ、仮の夫婦になります。 ただしエスメラルダは命を救うために結婚を承知しただけで、彼が触れることも許しませんでした。 一方、フェビュスは刺されても生き延びますが、幸せにはなれず、婚約者との不幸な結婚生活を送ることになります。 この小説は、物乞いや社会からはじき出された人々を主人公にした最初の小説だともいわれています。

「これがあれを滅ぼす」

この小説には、物語とは別にもう一つの主張があります。フロロは印刷された本と大聖堂を見比べて「これがあれを滅ぼすだろう」とつぶやきます。印刷術が広まる前は建築こそが人間の思想を伝える最大の手段であり、印刷がその時代を終わらせる、というユーゴーの考えを表した言葉です。

小説はフランスで大評判となり、歴史的建造物を守る運動のきっかけになりました。19世紀には建築家ヴィオレ・ル・デュクによるノートルダム大聖堂の大修復にもつながっています。 一冊の小説が、本当に一つの大聖堂を救ったのです。

『ノートルダム・ド・パリ』で覚える日本語表現

表現 意味 例文
見かけによらない 外見から想像できない 彼は見かけによらず優しい。
濡れ衣を着せられる 無実の罪をかぶせられる 彼女は殺人の濡れ衣を着せられた。
恩を忘れない 受けた親切をずっと覚えている カジモドは一杯の水の恩を忘れなかった。
運命のいたずら 思いがけない不運な巡り合わせ 母との再会は運命のいたずらだった。
かくまう 追われている人を隠して守る 彼は彼女を大聖堂にかくまった。

練習問題: 見た目と中身が違っていた人について、「見かけによらない」と「恩を忘れない」を使って三文書いてみましょう。

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