ギルガメシュ叙事詩とは?最古級の英雄譚の成り立ちと、粘土版が読まれるまでをたどる

『ギルガメシュ叙事詩』は古代メソポタミアの文学作品で、人類が知る最古の作品とされます。題名、二つの版、あらすじ、解読の歩み、日本語訳を整理し、短い練習問題も添えます。

『ギルガメシュ叙事詩』は古代メソポタミアの文学作品で、人類が知る歴史の中で最も古い作品とされます。主人公のギルガメシュは、実在していた可能性のある古代メソポタミアの伝説的な王です。物語では、エンキドゥの死を機に、ギルガメシュは死への恐怖から肉体の不死を求める旅に出ます。この記事では、題名の成り立ち、二つの版、あらすじ、解読の歩みを順にたどります。

題名と標準版の基本

現在知られている標準版は12枚の書版から成り、アッシュルバニパルの図書館から出土しました。標準版は、標準バビロニア語で書かれているためそう呼ばれます。「標準」という呼び名は、書かれた言語に由来します。

『ギルガメシュ叙事詩』というタイトルは近代の学者が付けたもので、原題は『深淵を覗き見た人』もしくは『すべてを見たるひと』となります。普段目にする題名と原題は別物だと覚えておくと、版の違いを読むときに混乱しにくくなります。

標準版の奥付には、作者としてシン・レーキ・ウニンニの名が記されています。英語版の記述では、この編纂者の活動時期は紀元前1300年から1000年の間と考えられています。

古バビロニア版と標準版の違い

英語版の記述では、古バビロニア版は紀元前18世紀頃のもので、現存する最古の単一の叙事詩の物語です。年表では、前1800年頃にシュメール伝承を基にしたアッカド語の古バビロニア版が成立するとされています。さらに前2100年頃には、ギルガメシュを扱うシュメール語の詩の一部が成立した可能性があるとされます。

書き出しを比べると、古バビロニア版は「他の王達にまさる者」であり、標準版は「深淵を覗き見た人」で始まります。冒頭の一句を並べるだけでも、版の違いを確かめられます。

標準版は前1300〜1200年頃にまとめられたとされます。この標準版では、ギルガメシュの物語の中に洪水伝説が挿入されました。版の違いを整理するとき、洪水伝説は押さえておきたい点です。

あらすじ前半:エンキドゥとの友情と冒険

物語の始まりでは、ウルクの暴君ギルガメシュに対抗するため、神々が粘土からエンキドゥを造り、荒野に置きました。二人の関係は、この場面から動き出します。

ギルガメシュとエンキドゥは出会って大格闘をしましたが決着がつかず、互いの力を認め合い親友となりました。対立から友情へという流れは、場面ごとに三行でまとめる練習にも使えます。

二人は杉の森に住む番人フンババを討伐しました。ギルガメシュはイシュタルの求愛を断って怒りを買い、天の牡牛を殺します。次の節では、その後の展開を見ていきます。

あらすじ後半:不死を求める旅

エンキドゥの死を機に、ギルガメシュは死への恐怖から肉体の不死を求める旅に出ます。旅の先で、ウトナピシュティムは、不死は神に与えられるもので人間の手には入らないとギルガメシュに諭しました。

英語版の記述では、ギルガメシュはウトナピシュティムから、求める命は決して見つからないと知ります。その理由は、神々が人間に死を分け前として与えたとき、命を自らの手にとどめたからだと記されています。

ギルガメシュは老いた人が若返るという植物を手に入れましたが、水浴び中に蛇に持ち去られ、不死を得られませんでした。この結末まで、一文ずつ心の変化を記録しながら読むと、物語の流れが整理しやすくなります。

粘土版の発見と解読の年表

1853年、ニネヴェのアッシュルバニパルの図書館から出土した書版が見つかりました。1872年には、ジョージ・スミスが洪水の部分を含む粘土版の解読結果を発表しています。

1891年には、登場人物の名を「ギルガメシュ」と初めて正しく読むことに成功しました。1930年には、カムベル・トムソンがセム語を用いた『ギルガメシュ叙事詩』を刊行しています。

1998年には、セオドア・クワスマンが、叙事詩の冒頭部分とみられる断片を大英博物館の収蔵庫で発見しました。年表を並べると、発見と解読がいくつもの時期に分かれて進んだことがわかります。

実在性、影響、日本語訳

エンメバラゲシ(キシュの王)に関わる遺物が発見され、ギルガメシュの実在性を支持する根拠の一つとされています。ただし、ギルガメシュは「実在していた可能性のある」王とされており、実在を断定する書き方は避けるのが妥当です。

英語版の記述では、ギルガメシュ叙事詩は英雄譚の伝統における基礎的な作品とされ、後の英雄ヘラクレスの原型となったとされます。

日本語訳は矢島文夫によって完成され、1965年に山本書店から刊行されました。現在一般的に読まれている日本語訳は、月本昭男による1996年の訳です。

練習問題:理由と変化を一文ずつ書く

次の課題を、ノートに書いて試してみてください(自作の練習問題です)。「エンキドゥが造られた理由」を「〜ため、〜」の形で一文に、「二人の関係がどう変わったか」をもう一文に書きます。事実は一文に一つだけ入れるのが決まりです。

例答(自作の例で、作品中の言葉ではありません):「ウルクの暴君ギルガメシュに対抗するため、神々は粘土からエンキドゥを造った。二人は決着のつかない格闘の末、互いの力を認め合って親友となった。」解説:理由を「ため」で示し、二文目で変化だけを述べています。慣れたら、冒頭の「他の王達にまさる者」と「深淵を覗き見た人」の違いを、自分の言葉で書き比べてみましょう。

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